帰還せよ 北東の国原付の旅⑥ 秋田へ渡る

リトルカブの故障

2020.9.12

朝早く酸ヶ湯温泉を発った。奢っていただいているご夫婦に前日、朝が早いことを伝えると朝食におにぎりを注文してくれた。どこまでも優しい方々だ。

雨は少し降っているがぬくぬく布団で熟睡した私の敵ではない。十和田市街を目指す。
途中なんだか変速の様子がおかしい。ガチャガチャやってもうまく入らなくなった。信号からの発車はギャンブルになる。どのタイミングで一速に入るか分からないからだ。

無理はできない。何とか入った2速でそろそろ進む。こういう時に限ってパトカーが追い抜いていく。運がいいものだ。

ひやひやしながら十和田にたどり着いた。バイク屋を探さねば。それにしても寒い。めちゃくちゃ寒い。昨夏利尻礼文を訪ねたときも猛烈なヤマセでひどい思いをしたが雨が降っている上にバイクにかじりついているだけなのでさらに寒い。

町のバイク屋を見つけてお邪魔する。年配の夫婦でやっていらっしゃるようだ。奥には旧車と呼ぶには古すぎるような年代物の単車が並んでいる。
変速レバーのねじが一つなくなっていたようだ。「ふつうこんなところ壊れないんだけどねぇ」と不思議がられた。これまでカブが頑張ってきた証か、それとも人の金で温泉旅館に泊まった罰が当たったのか。とにかく大きな故障でなくてよかった(借り物なので)。

進路を南に向ける。国道4号線を走り五戸、三戸、二戸、一戸と「へ」を制覇していく。最大都市八戸包囲作戦だ。Eテレの2355という5分番組でこの「戸」についての歌があった気がする。

NHKオンライン | Eテレ 2355
きょうの終わりにほっとひといき。『2355』は&#12...

あった。「おやすみソング」の下の方に『さらば八戸』という曲がある。これだ。大学受験時代、塾から帰ってご飯を食べながらよく観たものである。

だからなんだ。一人だからこんなしょうもないことを考えてしまうのだ。早く進もう。

盛岡に入る前に岩手山・八幡平の方へ舵を切る。雨は降っているが半日様子を見て明日の朝天気が回復していれば登ろう。道の駅にしねに陣取った。見覚えのある顔があちこちにある。わんこそばのそばっちをはじめとしたわんこきょうだいである。ゆるキャラだ。遠い九州の地まで名を轟かせていたみちのくの雄に感動の再開だ。

なんのことはない。いわて国体に出場した部活の同期からのお土産ファイルに彼らがたくさん描かれていたから覚えていただけのことである。

さて、明朝(2020.9.13)の道の駅。分厚い雲が空を覆い岩手山なんかは何も見えない。やめたやめた。秋田に行っちゃえ!!意思の薄弱さが私のとりえの一つであるとなんとか言い訳しながらリトルカブにまたがった。

秋田県と高校部活

奥羽山脈を越える。国道46号線で岩手山の南を通り雫石町を通過する。話は逸れるが、なんと岩手県立雫石高校には私が高校で所属していた激レア部活、ボート部をもつ名誉ある高校なのだ。

「全国大会出場!」という垂れ幕が国道沿いにかかり勝手に親近感が湧いてきたのでここに記しておく。おそらく御所湖で練習しているのだろう。なかなか立派な湖だ。うらやましい限りである。

ちなみに私の出身県には高校ボート部は2校しかなく、毎年インターハイの出場権はほぼ一騎打ちで決まっていた。大学に入れば多少知名度は上がるものの、全国各地で同志の高校を見かけると応援せずにはいられないのだ。

閑話休題。大学生の原付旅に話を戻そう。ウンウンふかして峠を越えると秋田県に入る。仙北市だ。秋田駒ケ岳登山口への看板が増える。存じ上げなかったが紅葉で有名な山であるらしい。東北配属にでもなったら登りに来よう。

同時に田沢湖の看板も出てくる。日本一の深さを誇るらしい。一番はなんでも良いものだ。見ておこう。

ほとりに着いた。特に感想はないが見たという事実があれば十分だろう。深いところや狭いところが苦手である。深くてもいいけれど底が見えていないと怖くて仕方がないのだ。だから洞窟潜りにははまらなかった。田沢湖も少し怖い。423.4mの湖底に引きずり込まれるわけでもないのにその数字を聞いただけで怖くなってしまう。退散だ。

田沢湖畔

由利本荘市に着いた。何を隠そう秋田県立本荘高校もボート部を有しているのだ。
実は私と本荘高校は雫石高校と比べ物にならないくらい縁が深い。

あれは私が高校3年の夏、島根県さくらおろち湖で行われた高校総体での出来事である。

配艇練習(※読まなくていい※ 高校総体では公平な競争のために運営が準備した公式艇でレースを行う。普段練習している艇とメーカー、種類が違うので調整と練習のための時間が設けられるのだ。普段の練習では金のない公立高校はインハイおさがりの国産艇を、立派な私立は高価な海外製を使用していることが多く地方大会では私立高校が無双する光景がよくみられる。地方大会と全く違う結果が見られる配艇制度の面白いところだ。※読まなくていい※)を終え陸に上がると我々のテントに知らない父兄が並んでいる。
「あのー、すみません。これ僕らのテントなんですけど。」
「あ!ごめんなさい!共有テントかとおもっちゃった!」
お茶目な大人である。そうだ、彼らこそ本荘高校の連中だったのである。もう4年も5年も昔の出来事だ。2020年に訪れることになるとは。

深い。これほど縁のある高校なのである。ほぼ母校と言っても差し支えない。

……..。

しょうもないとか言わないこと。

雨での移動で回想にふけることでしか時間がつぶせないのだ。過去の話ばかりする人間はいつの時代も嫌われる存在であるがどうにかご容赦いただきたい。

雨があまりにひどいため今日の宿は酒田市のネットカフェとさせていただいた。

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