帰還せよ 北東の国原付の旅② 斜里岳・雌阿寒岳

雌阿寒岳

阿寒湖のほとりの無料キャンプ場に幕営し、僕より早く到着していた大学の後輩と一緒に飯を食う。近くにテントを張っていたおじさん連中も参加して小さな宴会が開かれた。

そのうちの一人は12か月のうち9か月日本を走り回って山に登っているという。今回の北海道も紅葉が始まる山をピンポイントで狙って縦走を繰り返すそうだ。入下山の登山口が違う縦走ではハイエースに積んである1200㏄のBMW大型二輪に乗って車を回収する。

見せていただいたが天井まで数センチのギリギリサイズのバイクが積んであった。ガンダムを輸送しているようなたたずまいに男の子の心をここまでかと言うほどくすぐられた。

メインのハイエースも新しそうだったのでかなりお金がかかってそうだと思ったのだが、実は中古車でコロナ禍のせいで輸出できずに国内在庫がたまった中古車がこれまでにないほど値下がりしていたというのだ。知識は武器だということを改めて確認した。

2020.9.7

翌朝、霧雨がやんだタイミングを見て後輩と出発した。ハイエースバイクオジサンが教えてくれた稜線コースを歩くために未舗装の林道を5kmほど走った。結局走るのではないか。

昨日必死の外交力で回避した林道走行を次の日にはやる羽目になってしまった。天気はかんばしくなかったが、稜線からの絶景ためパンクを覚悟して登山口に向かう。

5時半に歩き始め何匹かのリスと戯れ、硫黄がむき出しになった斜面を横目に稜線に出た。天候回復の兆しはほとんどなく一面真っ白である。

明るい白であれば太陽が顔を出すことを期待できるが、曇天も曇天、視界全てが薄暗く雨も降り始めた。稜線上ゆえ風雨から体を守ってくれるものはなく、さぶいさぶいと言いながら後輩と歩き続けた。風も絶妙に強く靴も濡れてしまった。早く温泉に浸かりたい。

山頂に到着した。もちろん何も見えないが見えないゆえの怖さがこの山にはある。山頂直下の火口からゴウゴウとマグマの音が聞こえるのだ。見えない底から響く低音は人間に恐怖を与えるには十分すぎる。おそらく本物の地獄もこのような演出がなされているに違いない。

一瞬ちらっと現れた青空と写真を撮ってすぐに下山する。マウンテンバイクで下ったら気持ちのよさそうな稜線を無言でくだっていく。気持ちはすでに温泉の中だ。バイクを回収し何とかパンクせずに(荷台をとめていたねじはなくなっていたが)テン場に戻り温泉に行った。

バスセンターの裏側の観光温泉とは思えないたたずまいの宿舎のような建物の中にかけ流しの人気温泉があるという。

小学校を思いださせる冷たい廊下を歩くと浴室がある。10個弱のシャワーとタイル張りの浴室が一つのシンプルな浴場だった。非常に好きな雰囲気だ。湯はとても熱い。羅臼岳木下小屋で鍛えたはずの熱湯耐性がまったく役に立たない。

1分も入っていると体が真っ赤になる。温泉の効能か半分火傷か、どちらが勝つのか見ものである。しかし冷え切った体を温めるにはとても良い湯だった。上がってからも汗は止まらず外に出たときに浴びた風がとても気持ちよかった。

ここで後輩とお別れである。旭川に向かう250㏄ニンジャの後輩は50㏄リトルカブの先輩を置き去りにしてビュー――ッと消えていった。また大阪で会おう。

次回は山はなし。ぐんぐんと西進し蝦夷富士羊蹄山に向かう。

おまけ写真
早朝斜里岳
沢をゆく
谷筋上部 水が多いと大変そう
山頂へ 晴れてきた
北海道らしさ補充
ガンダムハイエース
雌阿寒岳稜線ルート
晴れ間
現実 Viva España

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