帰還せよ 北東の国原付の旅① 羅臼岳

出発

比較的たくさんのフェリーに乗ってきた方だとは思うのだけれど、乗り込む際の高揚感は回数を重ねても衰えることはない。

2020年9月1日、京都の舞鶴港でもそれは同じだった。ドキドキしながら乗船を待つ車列の中で中型大型バイクに囲まれた僕の原付は圧倒的にちっぽけだった。自宅で荷物を積み終わったリトルカブを見て、こんなに大きなバイクで行くのかと不安になっていたのだが、港では頼りなささえ感じた。

ただ、こんなに小さなエンジンで北の地を震わせるのは僕だけなんだ、という歪んだ自尊心に支えられ堂々と船へのタラップを渡ったのだった。

9月2日午後8時、小樽港に到着。実をいうと自動二輪車に乗るのは人生で初めてのことなので夜走るのは怖い。ということで港近くの風呂屋で夜を明かすことにした。

9月3日朝、まだ夏は終わっていないというのに、吐息は白く手がかじかむ。移動初日、3週間の旅の一ひねり目をグイっと回して元気に飛び出す。

50㏄の原付で走れる距離は1日せいぜい200kmだ。今日の目的地は旭川市のその先の上川町近くの道の駅。札幌の通勤ラッシュを抜け日本一長い直線国道12号を北上する。日が出ると暑くなり、上着を脱いだ。

旭川市には昼過ぎに着いた。市役所近くの館食堂で大盛カツ丼をほおばり北海道屈指の都市を後にし、北上する。右手には大きな大きな大雪山が構えていた。上川町を過ぎ、道の駅に到着。1日目が案外素直に終わった。

9月4日は羅臼岳のふもとまで。サロマ湖、網走を過ぎると海を挟んで知床は野津が見えてきた。まだ九州から出たこともなかった小さな頃からNHKのドキュメンタリーでたびたび見ていた自然界の日本代表がすぐそこにあった。

遠くの斜里岳に挨拶をして斜里町を過ぎるといよいよ半島に入る。国立公園に入った途端空気がガラッと変わった。車道を含めて人工物が最低限しか存在せず、人間に支配されない自然とはこんなにも活き活きしたものなのかと小さな感動を覚えた。

コメント

  1. […] […]

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