【大山】ダイセン・ドリーム・ザ・ライド

夜が明けた。山から下りて畑を荒らしていたのだろうか、シカの群れが僕の存在に気付いて逃げ出す。が逃げる方向が僕の進行方向なので並走する形になった。
朝日と川と田んぼと鹿、とてつもなく美しい瞬間に立ち会ってしまった。ドキュメンタリー映画が1本とれそうだった。

夜通し漕いだおかげでかなり良いペースで進んでいる。この調子でいくと午後1時には目的地にたどり着きそうだ。

なるべく早めに着きたいのだが、その理由は温泉の営業時間だ。
大山寺の参道にある豪円湯院は390円の格安天然温泉で、大山にいったときは必ず入る至高の温泉だ。
この温泉の受付時間が午後5時半までなのでなんとかそれまでにたどり着いて汗と疲れを流して明日の登山に備えたいのだ。

というわけで先をいそぐ。美作市を通過、津山市にはいる。
有名な場所なのか、観光用の看板が増える。7時ごろセブンで朝飯。エネルギー満タンで出発。

津山市から真庭市に向かうところでGKPが訪れた。googlemap kuso point だ。高速沿いの砂利道を3キロほど歩かされてた。見極められなかった僕が悪い。が悪態をつきながら歩く。

そういえば日が登ったあたりから左のふくらはぎからハムストリングスにかけてつったような状態が続いている。ストレッチしても治らないしだましだまし漕いでいる状態。うーーーーん、しんどい!

真庭市を越えるといよいよ大山に向かって北上が始まる。

正直もう漕ぐ元気がないので少しでも登りがあると自転車を降りて押して登る。大きな峠が現れる。狭い道をヒイヒイ言いながら登った。

ここで身に着けた技がある。名付けて「脳を騙してチャリ漕ぎ法
基本的には坂は歩く。歩きと自転車漕ぎで使う筋肉は違う。これを利用する。脳には歩いていると錯覚させておいて瞬時に自転車に飛び乗る。そしてシャコシャコっと全力で漕ぐ。この時まだ脳は僕が自転車に乗っていることに気づいていないのできつくない。そして脳が自転車を漕いでいることに気づくまで全力で進む。これの繰り返しで歩くだけよりも距離を稼げる。ぜひ実践していただきたい。

なんやこれ。。

森の中なので空気は良い。木漏れ日と小川が涼しさを運んでくれるが汗はダラダラ止まらない。ほんの6時間前にガタガタ震えていたのが嘘のようだ。

峠を超えて休憩のコンビニで素敵なネックレスの爺に話しかけられた。
大阪から来たことを伝えると

「高速とおってきたんか?」

と。免許証返納せんで大丈夫か。。

残り80kmで再パンク。チューブの替えがないのでパッチを張って修理。時間を取られた。

もうきつくてあんまり覚えてないけれど峠を超えて次の峠はパスして迂回した。蒜山高原に向かう道だ。

トンネルをくぐってビュウッと下ると

大山が見えた!!!!

ついにようやくその麓に着いた。と言ってもまだここは蒜山高原の麓だが。

とにかく天気がよいのでバキバキに山が見える。何度見てもカッコイイ山だ。
スーパーで軽食を取りラストスパートに入る。

おしゃれセンタ¬ かんた

残り30kmで10km下り、20km登り1000mアップ。

さらっと書いたが実は結構絶望していた。だって20km登らないといけないんだぞ。もうそんな力残っていない。

ただ、温泉に入りたい一心で歩いた。

そう、歩いた。少しの登り坂でももう漕ぐ力が残ってないし6月とは思えないほど暑い。自転車専門ではないとはいえ体力の衰えが本当に情けない。

山麓の田んぼが広がっている。かすかの牛舎のにおいがして用水路がざあざあいっている。

我慢できずに自転車を停め靴を脱ぎ用水路に足を突っ込む。
んぎもぢぃぃいいぃ!! がんがん照る太陽に負けない冷たさ。超回復。

大山環状道路に入った。大山山麓をトラバースしている道路なのでここまでくればアップダウンは激しくなくなる。北壁の真下をシコシコ進む。大山最高峰剣ヶ峰の登山口三ノ沢もこの道路上にある。

これが見えれば目的地の夏山登山口も近い

ゴッッ……(まだだ)

ゴォーーーーール!!

午後3時半260km強19時間半にわたる長い闘いが終わった。途中はこんな遠くにある大山を殴り飛ばしてやろうかと思った時もあったが、着いたときはその気持ちは吹き飛び、ベッドで最大の愛情をこめて恋人の名前を呼ぶように「…だ..いせ…ん….!!」とつぶやいていた。

南壁
マイチャ

at 大山

さあ汗と疲れと先ほどの気持ち悪い例えを温泉で流そう。
豪円湯院は内湯が閉じられ露天風呂のみで営業していた。そもそも内も外もあって施設もきれいな天然温泉に390円で入れること自体おかしいので喜んで外湯に使った。気づいたら寝ていた。溺れなくてよかった。

明日の山のために早く寝ないと。

生まれて初めて許可をとって野宿をする。今回の野プレ(野宿プレイス)は観光センターの軒下。上だけじゃなくて横も守られてるのでほぼ家だ。センターのおっちゃんが宿に泊まる金がない割にはいい自転車乗ってんなと煽ってきた。

野宿ハック。寝袋はかさばるので置いてきた。ただ、まだ夜は冷え込む季節なのでダウンを2着持って行った。そして使い方はこう!

腕のところに足を通せば簡易寝袋の完成。冬の寝袋補強にも使える技だぞ。
レインウェアを上から掛ければもっとあたたかくなる。

二日目

午前五時。起床。センターが開くまでに立ち退く約束だったのでちょこっとご飯を食べて山登りを始める。

が。足が動かない。は言い過ぎにしても3歩で限界が来る。も少し盛ったが、肉離れ気味の太ももとシンプルな疲労で体がうめいている。これはホント。

あきらめた。登山口から少し登った階段の途中であきらめた。
本当に情けない。ここまで体力が落ちていたのか。そしてここまで自分の体力を過信してしまっていたのか。ああ、恥ずかしい!!

ただ、20時間近く自転車を漕いできた最終目標が目の前にあるのにもかかわらず、自分の限界を見極め下山を決めたことは褒めて遣わそうじゃないか。自分。

そうと決まったら米子駅までダイセン・ドリーム・ザ・ライドである。

ダイセンを背にギュゥォオオンと下る。

きいもちいいいい!!

米子駅から出雲市駅まで人生初輪行。

親戚の家に転がり込んで猫と1週間過ごしましたとさ。

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