ジブラルタル海峡横断を画策した話

カヤック

これはカヤックに乗っている人はもちろん、水のスポーツを嗜む人ならなら一度は通るロマンの話である。

海峡横断

だ。地球上に人間が行っていない場所はないといわれる現代でも、横断や縦断という言葉はギラギラとロマンのオーラで輝いている。

今時アフリカの奥地に行っただのアマゾンを旅しただのは特に注目されることはないが、「~単独縦断」「●●海峡横断」というのは、おお、なんかすごいことなんじゃないのか、と思わせうる字面をしている。し、探検や冒険活動といったくくりでも世の中の人が理解しやすいアピールワードでもある。

そして僕も例に違わずあこがれたのだ。そして初めて2019年のGWに琵琶湖のカヤックキャンプ縦断をしたわけだが、街から丸見え、人工物だらけのあの湖でもとてつもなく楽しかった。そうなればもっと「すごそうな」ことをしたくなるのが人間の性というもので。

いい具合にスペインに留学に行くことになっていた僕はジブラルタル海峡カヤック横断を思いついた。響きだけ聞いたらとてもすごいことをしているように聞こえないか?

ジブラルタル海峡横断

こうすれば特に。

ジブラルタル海峡

ジブラルタル海峡はイベリア半島とアフリカ大陸の間の海峡で最も狭いところは幅14km(スペイン、タリファ⇔モロッコ、アルカサル・エ・セリル)。地図で見ればほぼくっついて見えるくらい狭い。

地中海と大西洋をつなぐ唯一の水路のため物流タンカーから地中海クルーズの豪華客船までどでかい船がビュンビュン行き来している。

大西洋から地中海に向かって約4km/hの潮流がある。海でのカヤック経験と知識が乏しいのでこれが速いのか遅いのかはぼくにはわかりかねるが、本州と九州の間の関門海峡の潮流は最大18km/hになるということだけは知っている。だからどうした。

海峡に面した同名の街ジブラルタルはイギリス領で、この街の湾を挟んだ対岸にアルヘシラスというスペインの街がある。どちらも立派で、昔から要所として栄えてきた。

海峡の対岸はモロッコだが、先っちょに小さなスペイン領の街セウタがある。ここに上陸すればパスポートにスタンプなしでアフリカの土を踏める。

ちなみにスペインはモロッコにもう一つ飛び地を持っていて、セウタのずっと東にメリージャという街がある。
あまり知られていないがスペインは5か国と陸の国境を持っているのだ。案外多い。
フランス、ポルトガルは簡単だろう、それに今述べたイギリスとモロッコ、最後はピレネー山脈の中にあるスキーリゾート地アンドラ公国だ。

話がそれた。僕の計画について話そう。

海峡横断

遠泳に関しては、世界オープンウォータースイミング協会という組織がオーシャンズセブンと称した各大陸の7つの海峡を定めており、ジブラルタル海峡も一つに数えられている。登山における7大陸最高峰だと思っていただければわかりやすいか。

なので泳ぎの情報はよく出てくるものの、カヤックで挑戦した話はほとんど見つからない。日本語はもちろん、スペインのサイトも探してみたが情報をほぼ含まない個人の日記が数件見つかっただけだ。

情報がなければ自分で調べるしかない。

装備

装備はごく一般的なシーカヤックのものを準備した。日本から運んできたやつだ。
唯一の不安はラダー(足で操作する舵)一式をもっていなかったことくらい(だいぶ重要だけど)。

何度か練習で長距離のキャンプツーリングで海に慣れてから本番を決行する予定だった。計画していたのは、セビージャ~カディスまでのグアダルキビル川下りとカディスからマラガまでの沿岸長距離航行だ。

これらも行うことはできなかったが、マラガで何度か練習はしていた。マラガでカヤックを漕いだ話

緊急時の対応と国をまたいでしまった時の対処

要するに遭難してしまった時のことだ。

スペインには3つの警察機構があり、仕事が少しずつ変わってくる。
国家警察・自治警察・グアルディアシビルだ。
最初のものは国に所属する警察で日本の警察と同じ働きをするが、都市部にいることが多い。二つ目は各県ごとの警察で交通関係の取り締まりを行ったり田舎の町村で警察の役割を果たす。この二つの違いはあまり大きくはない。

今回大事なのは三つ目のグアルディアシビル(日本語にどう訳すか分からない。治安警察とでもいえるか)で、山岳救助や、麻薬取締、沿岸警備と専門的な治安維持活動をしている組織だ。
もし遭難してしまえば彼らにお世話になる。

そもそもジブラルタル海峡周辺はアフリカ大陸からの密入国者や麻薬の輸出入が頻発している地域なので許可もないカヤックがウロチョロしていたら速攻で捕まってしまうこと間違いなしだ。

アフリカ大陸に一番近い街タリファに下見を兼ねて観光に行ったときに、浜辺に打ち上げられた小型ボートとグアルディアシビルに拘束された密入国者と思われる人たちを見たことがあるので怖さは知っているのだ。

打ち上げられたボート。近くに救命胴衣が散乱し、少し離れたところで20人ほどのモロッコ人と思われる人たちがグアルディアシビルに拘束されていた。

というわけで、どういう手続きをすればよいかまさに聞いてみようとしたその日にスペインは新型コロナウィルスの感染爆発で外出禁止になってしまった。結局聞けずじまいだ。

予定では、スペイン側のアルヘシラス近郊から出発してアフリカスペイン領セウタに到着する予定だった。

ここで問題になるのは、もしモロッコ領に流れ着いてしまった場合どうすればよいかということだ。

どうなっちゃうんだろう。

でもこれの解決方法はとても簡単で、セウタ側から出発すればよいのだ。フェリーで渡ってアフリカ側から渡れば、イベリア半島のどの岸にたどり着いてもスペインだ(ピンポイントでジブラルタルに着いてしまった場合は除く)。

航行の安全

アウトドアショップのおじさん曰く、ジブラルタル海峡を通る船の数はとてつもないらしく、カヤック程度だと気づかれずに跳ね飛ばされるぞ、とのこと。
これはこの海峡に限ったことではないのだが、航行スピードもものすごく速いらしく危険だといわれた。確かに水上では、遠くにいるように見える船もあっという間に目の前に来ているということがある。大型船だとなおさらそうだろう。
対策として大きめのモーターボートを並走させるべきだといわれたがそんな金はどこから湧いてくるのか。

ここはよく考えないと。

まとめ

結果としては、まだ実行には至っていないのだが、以上一部ではあるが計画を書き出してみた。

こういうのは普通実行して成功した後に経験談として書かれるものであろうが、このCOVID君のおかげで緊急帰国し練習長距離ツーリングからすべての計画がパーになった僕にとってはこうでもしないと消化しきれないことだったのだ。

書き出してみてわかったことだが、これは実行していても失敗で終わったんじゃないかと思えるほど計画が甘い。僕得だが考え直す良い機会になった。

絶対にやってやる。

コメント

  1. […] そして何を隠そうこれは来たる日のジブラルタル海峡横断のための練習だったのだ。ジブラルタル海峡横断 […]

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